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コロナ禍で「二重苦?」

コロナ禍で「二重苦?」

シンガポールでは8月、新型コロナウイルスが猛威を振るう中で別の感染症が蔓延してしまいました。蚊によって媒介されるデングウイルスの感染症「テング熱」です。※1 
医療現場への負担は重く、シンガポール政府は早急に政策を示していました。そして今、日本でも同様の混乱を招く可能性が示唆されていまます。それは「インフルエンザ」です。

インフルエンザと新型コロナウイルス感染症は区別できない?

コロナ禍、夏風邪にご注意をの記事では、「夏風邪とコロナウイルス感染症を症状で判別するのは医師でも難しい」ということをお伝えしました。インフルエンザも呼吸器感染症であり、症状が似ているため判別は難しく、発熱や頭痛、咳、倦怠感といった症状はいずれでもみられます。

症状は似ていてもまったくの別物!

インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の感染パターンを、わかりやすく比較しているものがあります。

2つのウイルス動態の違い

インフルエンザウイルス

新型コロナウイルス

毒性が高く、獲得免疫系がすぐに反応する

毒性が低く、獲得免疫がすぐに反応しない

ウイルス自体が猛威を振るい、重篤な肺炎より死に至らせることがある

重篤化される別のメカニズム(サイトカインストームにより重篤化、死に至らせる

大半が獲得免疫でウイルスが抑え込まれ、一気に治癒する

大半が自然免疫でウイルスが抑え込まれ治癒。治らない場合に獲得免疫が発動

感染期間は短い(1~10日程度)

感染期間は長い(1カ月~数カ月)

※サイトカインストーム:自己免疫システムの暴走
出典)高橋 泰 「新型コロナの実態予測と今後に向けた提言」社会保険旬報 No.2788  2020.7.1  P11

これまでの学説では「COVID-19は感染するのはまれだが、かかると重症化して死に至る可能性が高い疾患」という認識ですが、今後の日本では「COVID-19は誰でも感染する可能性が高いが、重症化して死に至るのはまれな疾患」という認識に変えるべきではないか、といった興味深い提唱を上記表の作成者である高橋教授がされています。その根拠として、①欧米に比べ死亡率が低い②高齢者と若年者ではリスクが大きく異なる③他の感染症との死亡者数の違い、という3点があげられています。

感染が広がった際に「恐怖のウイルス」としてイメージが定着した経緯もあり、人々の捉え方が変わるのはもう少し時間がかかるのかもしれませんが、過度に怖がるのではなく「正しく怖がる」よう、きちんと備えるべきではないでしょうか。

インフルエンザワクチンは計画的に

8月26日に行われた厚生労働省の専門家会議では、今冬はインフルエンザワクチンの需要が高まる可能性があり、優先的な接種をよびかけるよう取り組み案が出されました。※2

優先的な接種対象者とは、①65歳以上の高齢者。②医療従事者、65歳未満の基礎疾患を有する方、妊婦、乳幼児~小学校低学年(2年生)です。対象の方々が接種できるよう、10月前半から①の希望の方々の接種を開始し、10月後半から②の方々に対して接種を呼びかけては、とされています。13歳以下は2回接種が原則で、1回目と2回目は4週間開けることが望ましいとされています。※3 乳幼児では他の予防接種との兼ね合いをみながら、1回目を10月に、2日目を11月に接種できるようスケジュールを立てましょう。

インフルエンザも新型コロナウイルスも予防対策としてはほぼ同じです。免疫能に影響する食事、栄養成分ということで数回にわけてご説明しましたが、感染予防の最たるは3密(密集・密接・密閉)を避け、手洗いなど徹底した衛生管理を行うことです。そして、免疫システムが正常に機能するには多くの栄養素が関与するためバランスのよい食事が重要で、適正体重(BMI)を維持すること、そして十分な睡眠と休養、これに尽きます。生活習慣を変えるのは容易なことではありませんが、できることから、何かしらアクションを起こすことが大切です。

【参考文献】
※1 在シンガポール日本国大使館「デング熱の発生数増加に関する注意喚起」(最終閲覧日2020/8/28)
https://www.sg.emb-japan.go.jp/itpr_ja/dengue.html

※2 厚生労働省「2020/21シーズンのインフルエンザワクチンの供給について」(最終閲覧日2020/8/31)
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000664029.pdf

※3 特定非営利活動法人 VPDを知って、子どもを守ろうの会「インフルエンザワクチン」
(最終閲覧日2020/8/31)
https://www.know-vpd.jp/children/va_influenza.htm

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